全国職能資格協会 事業本部長 岡鼻 哲子
人物を見抜く
ショックを与えて反応を見る
表情から見抜こうとしても、自己コントロールができる人はなかなか表情を崩さなかったり、いわゆるポーカーフェースというやつで、自分の手の内を相手に読まれないために無表情を装うということになると、なかなか見抜けないことになる。
こういう場合には、ちょっとしたショックを与えてみるということも必要になってくる。驚かすとか怒らせるということをやってみる。思いがけないショックによって相手の心のバランスが崩れ、その瞬間、本音が出るということがよくある。
受験生に軽いショックを与えることによって、今までしとやかだった女性が、急に怒りの感情を現したり、悲しみの感情を現したりすれば、怒り型、あるいは悲しみ型であることが暴露される。
表情がこのようにはっきり現れれば判定し易いが、これほどはっきりしない場合も少なくない。そういう場合は、ちょっとした表情の乱れがはたして何を意味するのか、ほかの兆候と照らし合わせて見ながら解釈する訓練が必要になってくる。
投影法によってモチベーションを吐き出させる
人を見抜くためのもっともオーソドックスなやり方は、相手によく喋らせることである。相手の本音や考え方、欲求などは、相手の無意識の中にかくれていてなかなかわからないから、相手に喋らせることによって、意識をひき出していくことが必要になる。 もっとも、相手に喋らせようと思っても、
- 相手がこちらを警戒していてなかなか本当のことをいわない
- 自分をよく見せようとして体裁のいいことをいう
- 本音をいわずたてまえをいう
- 嘘をいう
- 自分の考えを正しく表明することができない
これはアメリカの例であるが、アイボリー石鹸が従来、非常によく売れていたのだが、だんだん売れ行きが低下してきた。いったい何が原因だろうかと、心理学者に調べてもらった。
その結果、わかってきたことは、化粧石鹸で体を洗っても身も心もさっぱりしたいとか、自分を美しく魅力的にしたいという期待が強いということだった。
今まで、「アイボリー石鹸は安くてお得です」このキャッチフレーズでは、お客にまるでそぐわないことがわかった。
早速「アイボリー石鹸はあなたを魅力的にします」というふうに切り替えた結果、売り上げが次第に向上するようになったという。
そこで必要になってくるのが、お客のモチベーションが自然に吐き出されるような対象、あるいは環境をうまく活用することである。アイボリー石鹸の場合は、石鹸を使う環境(風呂場)においてどのように石鹸を使っているかをしゃべらせる方法であるから、環境においての本人の気持ちをどのように述べさせるかということになるが、これも一種の投影法であるといえる。