雇用管理責任者について

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雇用管理責任者について

わが国の建設業は、就業者数、雇用者数ともに全企業の1割を占める大きな産業でありますが、中小零細事業主が多いこと、臨時・日雇といった不安定な雇用形態の労働者が多いこと、その生産が重層的な下請け制度のもとで行われることもあって、建設労働者の雇用管理の責任の所在がとかくあいまいになりがちであり、建設現場における雇用管理体制も十分でない場合が多くみられます。

このため、「建設労働者の雇用の改善等に関する法律」では、建設業の実態に即しつつ、その雇用管理体制の整備を推進することとし、雇入通知書の交付を義務づける等、雇用関係を明確化するための措置を講ずるとともに、建設事業所ごとに雇用管理責任者の選任を義務づけています。

雇用管理責任者は、第一線の現場における雇用管理の推進者としての役割を担っており、その意味で全国職能資格協会の行う雇用管理責任者必須研修を受講及び当協会に専門職能資格者として所属し、研鑚される雇用管理責任者が着実に増え続けていることは、誠に心強いものがあります。

事業主は建設事業を行う事業所ごとに当該事業所において処理すべき事項を管理させるため雇用管理責任者を選任しなければならないことになっていますが、同一人を二以上の事業所の雇用管理責任者として選任しても差し支えありませんか?

同一人を二以上の事業所の雇用管理責任者に選任することは法律上差し支えありませんが、そのような選任を余儀なくされている場合には実質的に一つの事業所と認められる場合が多いので注意してください。

また、雇用管理責任者の選任を義務づける趣旨は、事業所における雇用管理体制の整備を通じて実質的に適正な雇用管理の確保を図ることにあり、雇用管理責任者を単に形式的に選任しておけば足りるというものではないことに留意して、特に設問のような場合には、雇用管理責任者の選任が実質的な効果が上がるような方途を講じてください。

建設雇用改善法第8条の趣旨からすると雇用管理責任者は、常時50人以上の建設労働者が就労する事業所に選任すれば足りるのですか?

建設雇用改善法第8条の規定は、元方事業主に対して関係請負人の雇用管理に関する事項を把握して書類を備えつけることを義務づけたものであり、第5条の雇用管理責任者の選任の規定とは趣旨を異にするものです。

雇用管理責任者は建設労働者を一人でも雇用している事業主であれば、たとえ零細事業主であっても当該建設労働者が就労する事業所ごとに選任しなければならない事とされており、事業主の規模とは全く関係がありません。

雇用管理責任者はどんな小さな事業所でも選任しておかなければならないとのことですが、事業主が自ら雇用管理責任者となることも差し支えないでしょうか?

雇用管理責任者は各事業主が、事業所ごとに選任しなければならないものです。
事業主とは建設労働者を雇用して建設事業を行うものとされており、建設労働者を一人でも雇用している事業主は雇用管理責任者を選任しなければなりません。

したがって、「事業所」の規模と雇用管理責任者の選任とは関係がありません。
ただ特に小規模な企業等において、事業主またはその代表者が建設現場で就労する建設労働者の雇用管理を直接行うことができる場合には、自ら雇用管理責任者としてその職務を行うことは差し支えありません。

雇入通知書(労働条件通知書)

事業主は建設労働者を雇い入れたときは、速やかに雇用に関する文書を交付しなければならないと規定されていますが、このうち「業務の内容を明らかにした」とあるのは労働基準法第15条に基づく労働条件を明示したものと解して差し支えありませんか?

「業務の内容とは」職種及び具体的な作業の内容をいうものですから労働基準法にいう労働条件を明示したものとはなりません。

労働契約を締結したり、辞令を出していたりする場合にもさらに雇入通知書を交付する必要があるのですか?

雇入通知書の交付が雇用関係の明確化を図ることにあるため、労働契約の締結が文書で行われ、また採用に当たり辞令が交付され、必要事項が明らかにされている場合は、さらに雇入通知書を交付する必要はありません。

元方事業主による関係請負人の把握

「建設工事の設計監理のみを行う者は元方事業主には該当しないが、現場監督等を派遣し、建設工事の施工管理を行う者は元方事業主となる」とのことですが、設計監理と施工管理との違いは何ですか?

施工管理とは、工事の実施を管理することで、工程管理、作業管理、労務管理等の管理を総合的に行う業務をいい、通常総合工事業者が行っている業務がこれに該当します。また、設計監理とは、設計図、仕様書等の設計図書を作成し、工事が設計図書どおり行われているかどうかを確認する業務をいい、通常、設計事務所が行っている業務がこれに該当します。

書類の備えつけ義務が生じる「常時50人」の把握はいつの時点で行うのですか?

「常時50人」か否かの把握は、当該工事の着工の時点において工程表等により、初期の準備工程および終期の手直し工事を除く期間中1日当たり50人を擁する建設工事であるか否かを判断する方法によって行ってください。

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