建設業のコロナ対策
1.はじめに
建設業は、社会資本整備の担い手であると同時に、災害時には最前線で地域社会の安全・安心の確保を担う「地域の守り手」として、その社会的使命を果たしていく必要があり、「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針(令和3年5月7日変更)」(以下、対処方針)1において、公共工事は社会の安定の維持の観点から、緊急事態措置の期間中にも、継続を求められる事業として位置づけられている。また、対処方針においては、国民の安定的な生活の確保の観点から、インフラ運営関係(電力、ガス、上下水道等)、家庭用品のメンテナンス関係(配管工・電気技師等)等の事業者について、自宅等で過ごす国民が、必要最低限の生活を送るために不可欠なサービスを提供する関係事業の事業継続を要請するとされており、公共工事以外の建設工事についてもこれらの事業の継続のために必要な工事については継続することが求められるものと考えられる。今後、完全な感染症の終息までの期間が長期にわたることを考えると、一層感染防止のための取り組みを進め、新型コロナウイルス感染症のまん延を防止していく役割に加え、事業を通じた国民生活への貢献拡大という役割が求められる。
本ガイドラインは、対処方針や新型コロナウイルス感染症専門家会議の分析・提言2等を踏まえ、事業者の建設現場やオフィス(ここでいうオフィスとは労働安全衛生法上の事業場の概念であり、従業員が事務作業を行う事業場(現場事務所含む)をいう。)において、建設現場等の実態に応じた新型コロナウイルス感染予防対策を行う際の基本的事項について、参考として整理したものである。
事業者は、対処方針の趣旨・内容を十分に理解した上で、本ガイドラインに示された「感染防止のための基本的な考え方」と「講じるべき具体的な対策」等を踏まえ、必要に応じ、衛生委員会等を開催し、建設現場等の様態等を考慮した創意工夫を図りながら、新型コロナウイルスの感染予防に取り組むよう努めていくことが必要である。
また、自らの建設現場やオフィスの感染予防対策に留まらず、情報の提供・共有等を通じ、取引先企業、医療関係者を含む他の事業者の感染拡大防止対策の支援に積極的に貢献していくことをお願いしたい。
本ガイドラインは、緊急事態措置・まん延防止等重点措置下はもとより、これら以外においても、新型コロナウイルス感染症の感染リスクが低減し、早期診断から重症化予防までの治療法の確立、ワクチンの開発等により企業
1 内閣官房 新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針
(https://corona.go.jp/news/news_20200411_53.html)
2 新型コロナウイルス感染症対策専門家会議「新型コロナウイルス感染 症対策の状況分析・提言」
(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_senmonkakaigi.html)
2の関係者の健康と安全・安心を十分に確保できる段階に至るまでの間の事業活動に用いられるべきものである。本ガイドラインの内容は、関係省庁や専門家の知見を得て作成したものである。今後も、感染症の動向や専門家の知見、対処方針の改定等を踏まえ、適宜、必要な見直しを行うものとする