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お知らせ 2020.03.06

建設業とコロナウイルス


 ◇国交省が相談窓口開設
国土交通省が新型コロナウイルス感染症の拡大防止策で打ち出した直轄工事の一時中止措置に対し、地域建設業で不安の声が上がっている。「受注者の意向確認」を前提とする措置だが、一部報道で誤った解釈がされたためだ。年度末が押迫る中で一時的にでも中断すれば、中小建設業者が多く抱える単年度工事の年度内完成が難しくなる。出来高が上がらなければ地域経済にも影を落としかねない。不安払拭(ふっしょく)に向け国交省は相談窓口の開設など対応に当たる。=各面に関連記事
 直轄工事・業務の感染症対策は2月28日の記者会見で赤羽一嘉国交相が表明。受注者の意向を踏まえて一時中止や工期・納期の延長を行うとした。これらに伴う経費は「発注者が適切に計上する」とも付け加えた。国交省が直轄発注部局に出した文書では、すべての受注者に意向を確認。その上で受注者から申し出があった場合に「工事または業務の一時中止や設計図書等の変更を行う」と明記した。
 直轄の現場で感染者が判明した場合は都道府県の保健所などの指導に従うことを基本とし、受注者からの申し出がある場合は一時中止措置などを講じる。民間発注者に対しても、現場で感染が判明した場合は受注者による適切な対応を求めている。
中小建設業界に不安が広がった背景には、赤羽国交相の表明を受けて「一時中止ありき」の報道が独り歩きしたことにある。昨年10月の消費増税による経済への影響が拭い切れていない中、ある地域建設業団体の幹部は「中小建設業が受注する公共工事が景気を下支えしている面がある」と強調。年度末の時期に一時的にでも工事がストップとなれば完成・引き渡しが難しくなり、「地域経済にも大きな影響を与えかねない」と苦しい胸の内を明かす。
全国建設業協会(全建)には、傘下の都道府県建設業協会からの問い合わせが相次いだ。受注者の申し出が前提など正しい情報を伝えている。ただ本当に困って一時中止せざるを得ない時は「費用負担などしっかり対応してほしい」(全建幹部)と話している。
新型コロナウイルスの影響は業種や地域を問わず経済全体に及ぶ。「(感染拡大に伴う)景気の失速に拍車を掛けかねないのではないか」(地域建設業団体幹部)と危機感が募る。
 国交省は一時中止や延期で工期や履行期間が年度を超える可能性がある場合、「繰り越しなどの手続きを取る」としている。国交省の対策を受け多くの自治体でも同様に受注者の意向確認が始まっている。だが一部自治体は年度末の繰り越し手続きが難しいとして、対策文書から文言を外すケースもある。仮に繰り越し手続きの要請があれば「その段階で対応を考える」(ある自治体の担当者)など、“待ちの姿勢”で構える自治体も少なくない。
工事の一時中止や延期は、現場の従事者の健康や安全を確保する措置だが、地域経済や景気への影響も避けられない。地域建設業の経営者は厳しい判断を迫られている。国交省は直轄工事・業務に関する相談窓口を設置し、受注者からの問い合わせなどに対応できる体制を整えた。設計積算や入札契約、施工段階などに応じた通知文書をホームページで閲覧できるようにするなど、正確な情報の発信も進めている。
(正司光男)