建設業界の現状と今後の動向
建設業界の現状と今後の動向はどうなるでしょう?
これからの建設業界を見ていくために、現状の数字を把握しましょう。
国土交通省が出している「建設産業の現状と課題」から、データを読んでみます。
まずは建設投資額のデータです。
建設投資額は1992年の84兆円をピークに2010年には42兆円とピーク時に半分に落ちています。
このころは民主党政権でかつ、リーマンショックのからまだ2年目で民間の建設投資額や政府投資額ともに大幅に下がっているころです。
その後の最新データである2016年には52兆円にまで回復しています。
この間は建設投資額は右肩上がりで推移しており、今後も増加傾向にあります。
さすがにピーク時に戻ることはありませんが、建設業のお金の動きは活発になっているといえます。
そして建設投資額とは反対に建設業の就業者数は、増えもせず減りもせず横ばいとなっております。要するに仕事は増えているが、人数は同じ。一人当たりの仕事は増えているということですね。
今後もこの傾向は続き一人当たりの仕事は増え、需要と供給の関係から単価も建設業の仕事の単価も上がっていくと予想されます。
建設投資額は?
ではその建設投資額の内訳を見てみましょう。
2016年度の建設投資額は52兆円。そのうち政府投資額が22兆円で民間投資額が30兆円です。
政府投資額はのうち87%の金額は土木工事に使用されていて、建築への投資額は13%です。
それとは逆に民間投資額えは建築の投資額は83%で土木は17%です。
この全ての投資額のうち、住宅建築の投資額がおよそ15兆円でありますが、人口の減少とともに住宅建築投資額は減っていくと見られているので、住宅建築に関しては厳しくなっていくと予想されています。
その状況とは逆に様々な需要により、土木と非住宅建築の投資額が増えていっています。これはオリンピックや万博などの影響によっても支えられています。
そして土木建築はこれからも政府から公共事業として下支えされますし、それに合わせて非住宅の建築需要も増え、民間の建築投資額は安定していくと見られています。
このように住宅建築以外はとても楽観的な未来予想だと言えます。
建設業界の将来予測!5年後・10年後はどうなっている?
現在までは東京オリンピックの需要に支えられているように見える建設業界ですが、オリンピック後はどうなってしまうのでしょうか?
建設業の投資額はどうなっていくのか
まずは建設業界の仕事量の話をします。
2020年に東京オリンピックが開催されその後一気に仕事がなくなってしまうのではないかと不安になっている人も多いと思いますが、オリンピック後も仕事は無くなりません。
まず2025年には大阪万博も控えています。
大阪万博ではスタジアムの建設はないものの、鉄道などのインフラの需要やホテル建設などの需要が見込まれています。
さらにIR施設も同時に建設予定です。IR施設は別名カジノ法案が通ったので日本中の様々な地域にカジノを含めた大型の複合アミューズメント施設が建設される予定になっています。
これによってもホテルや海外観光客のためのインフラ需要。そしてそこには街が生まれるので住宅などもできるでしょう。東京大阪間ではリニアモーターカーの開通は予定されておりその線路や駅、そして携わる人が住む街の建設が必要となります。
さらに戦後から作られているインフラの老朽化も進んでおり、整備やメンテナンスなどの需要が増えます。
2013年には3.6兆円であったインフラのメンテナンス費用は、2033年には6兆円に膨らむと言われています。それだけメンテナンスだけでの建設業の需要があるということです。
このようにこれから10年で仕事量が減ることはないでしょう。 (正司 光男)