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お知らせ 2018.12.07

建設業の週休二日制

 日本の労働市場は全般的に人手不足が深刻な状態にある。求人倍率の直近データ5月分を見ると建設業の躯体工事の職業では有効求人倍率は10倍を超えている状況だ。この異常とも言える数字はもちろんオリンピック関係の工事と関係しているのではあるが、人口動態から見てこれは一過的なものではなく、今後長期的に建設業の人材不足は深刻化すると予想されている。
 「建設現場の週休2日は実現可能か」という問いに対して、「実現できる」と回答したのは31%にとどまった。一方、「実現できない」は28%で「困難だが、実現するしかない」という回答は41%、これらを合計すると「困難だ」と考えているものは実に69%にも上る。総じて見れば、建設現場で働いている者の意識は「週休2日」は必要だと考えていながらも現状では難しいと認識しているようだ。

 困難にしている理由について尋ねたところ、「工期が間に合わない」が33%と最も多く、「給与が減る」が26%、「建設現場の古い固定観念」が17%、「下請けの多重構造」が13%、「発注者との関係」が10%、「その他」1%という順であった。「給与が減る」というものが2番目に多く、下請け多重構造の中、給与システムについても業界全体としての工夫も必要なようだ。

 そもそも現場に「週休2日」は必要かという問いに対しては「すべき」52%、「すべきでない」6%、「選択制にすべき」42%という結果だった。自由回答としては「強制的にでも週休2日にしなければ、いつまでも週休2日にならない」という意見もあった。

 既に現場で働いている人達の意識では「週休2日」への要望は必ずしも多いとは言えない。しかし、今後持続的な人材不足が予測され、新たな人材を業界の外から調達しなければならないという現実を考えると旧来の労務システムのままではいられないということだけは確かであろう。(正司 光男)