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お知らせ 2018.09.13

アルバイトで働くとき、アルバイトを雇うときの注意点

 労働基準法第38条「労働時間は、事業場を異にする場合においても、労働時間に関する規定の適用については通算する」と定められているため、本業と副業の勤務先の労働時間を通算して扱うことになります。例えば、A社で平日8時間勤務する者が、毎週土曜日B社で8時間勤務する場合、通算の労働時間は週40時間を超えることになります。そもそも法定労働時間を超えるB社で働くことができるかという問題がありますが、通達(平成11年3月31日基発168号)において労働基準法第36条第1項(いわゆる三六協定)の規定に基づき時間外労働についての法定の手続きを取れば可能であるとしているので、B社で三六協定を締結していればB社で働くことは可能です。

 ただし、労働時間規制は、健康保護のための最低基準として定めるもののため、本人が長時間働きたいと希望したとしても、三六協定の範囲での勤務に制限されます。三六協定はそれぞれの会社の限度時間が適用されるので、B社が特別条項をつけていない三六協定を締結している場合、月間45時間、年間360時間の限度時間の範囲で勤務してもらうことになります。

 三六協定の締結とともに割増賃金の支払いも必要となります。割増賃金支払義務をA社、B社のどちらが負うかについて議論はありますが、原則として労働契約を後に締結した会社が負うとする考えが一般的です。A社で勤務する者がB社で副業をはじめた場合、B社に割増賃金の支払義務が生じます。正しく割増賃金を支払うためにはA社の勤怠情報が必要になるのですが、法令にダブルワーカーの勤怠情報提供制度等は規定されていません。B社がA社に勤怠情報の提供を求めても、個人情報の提供にあたるため拒否されてしまうことも考えられます。拒否されても割増賃金の支払いは必要なため、本人の申告に基づき割増賃金を支払うことになります。

 ダブルワーカーの過重労働
 安全衛生法で定められた面接指導制度等の過重労働対策は、複数勤務を通算することを求めていませんが、本業の会社、副業の会社ともに安全配慮義務があります。ダブルワークを把握している場合はもちろん、把握していなくても疲労の蓄積が見られる場合は、何らかの健康への配慮措置を講じる必要があります。(正司 光男)